スタッフ日記

2019/06/04  就労支援の現場

 

 

仕事柄、発達症のある人々の就労についての相談を受けることが多い。
内容は様々だが、事業所プログラムが自分に合っているのかといったものや、
どう伝えたら自分のことを理解してもらえるだろうか、という相談などもある。

 

 

いろいろと聞いていると、相談内容が10年前とあまり変わらないように思えることも多い。

 

 

その理由を考えてみた。いくつかある理由の一つに、もしかすると、
事業所がそれぞれのバックグラウンドに従って運営しているということもあるだろうか。
「これまでこのやり方でうまくいった」式でやるのが良いと考えるのは、自然なことだ。

 

 

精神科医療を経験したスタッフが多いと、どうしても統合失調症モデルがベースになりやすいし、
福祉施設などの出身スタッフが多いと、知的ハンディモデルから抜けにくいようだ。

 

 

結局、問題は福祉就労業界に、まだ発達症モデルが確立されていないということにあるといえる。
要するに、多くが未開拓分野であるために、私たちがそれぞれに手探りでやっているのが実情なのだ。

 

 

きちんとエビデンスに基づいたノウハウがないのだ。

 

 

一部の事業所はびっくりするくらいの成果を出しているが、
中には利用者さんをつぶしかねないと思うくらい危さのあるところも見聞きする。

 

 

気持ちは「支援」のつもりが、実際には利用者さんの就労可能性を阻害したり、
二次障害を生じさせていることも起こりうる。

 

 

もう10年以上前に作った札幌市の“職場で使える虎の巻”をお渡しすると喜ばれることが多い。

 

 

これがまだ通用するということは、現場の状況はあまり変わっていないということなるのかもしれない
(ちなみに、昨年虎の巻シリーズがネットで話題になって、札幌市に問い合わせが殺到したらしい)

 

 

自分たちのやりやすい方法で仕事をしたくなるのは自然のことだが、
利用者さん全員に同じプログラムを行うのでは、発達症のある人たちには、
予想外に侵襲的になっていることがある。どうしてこんな事態になっているのか。

 

 

精神医療側が、発達症のある人々の就労問題について、あまり関心を持たずに来てしまったということは大きいだろう。

 

 

「大人の発達障害」という言葉が広く聞かれるようになって、まだそれほど経っていないことを考えると、仕方がないのかなと思う反面、やはり喫緊の課題でもあると思う。

 

 

発達障害に特化した事業所もあるようだが、中身はどうなっているのだろうか。

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